コラム

Column

2021.09.24

建築士 ハギヤマ ジュンコさんに聞く「家づくり」という仕事

ハギヤマジュンコさん

家づくりに携わってきた私の仕事の変化

建築士というと、ハウスメーカーだったり工務店だったり、そういう働き方が大道かもしれませんが、私は今、少し違う立場で家づくりに関わっています。

フリーランスで「間取り相談」や「セカンドオピニオン」ということしながら、マイクロインフルエンサーという立場で「暮らし」についての発信することを仕事にしています。

私がこの道を選んだきっかけは、子どもの『小学1年生の壁』。小学生にあがることで、保育園のときより子どもが早く帰宅するようになり、ライフステージが変化する。子どもとの時間を作りながら働くことについて改めて考え、子どもとしっかり向き合いたかったからです。

そしてもう一つ。
前職で、建築確認審査機関で審査業務を10年ほどしていました頃、日々感じていた戸建て図面へのモヤモヤです。

家族らしさの欠片のある家づくり

住まう方がどんな人なのかが見えてこない『よくある間取り』。
(もちろん、よくある間取りが平均的に暮らしやすい間取りでもあるかもしれません)

 家族らしさの欠片が何かしら入っているはずの注文住宅に、その欠片が見つけられない毎日。
本来ならば意味があるはずの線から、その家族らしさが感じられない『 とりあえず、4LDK』
その『とりあえず4LDK』には『とりあえず収納』があり、その奥行きは『とりあえず910』
同じ業界にいるのに、何もできないもどかしさと、同じ主婦として分かる「一生に一度の大きな買い物の重大さ」 

 

今、私のところにきていただくお客様の100%の方が持っている物は何だと思いますか?
「本当にこの間取りでよいのだろうか・・・」 間取りへの不信感です。
きちんと話をする時間を取ってもらえない。
要望だけが図面に反映されていてプラスアルファの提案がない。
聴きたいことや言いたいことを言い過ぎたら、面倒な客と思われそうで言えない。
プランの決定を急かされてばかり・・・
このまま着工して、本当にいい家ができるのか不安になり仕方がない。

こういったお客様が建築会社ではなく、私へ直接お声かけしてくださいます。

 

もちろん建築業界の実情も知っているので、なかなか難しいこともわかっているけれど……
やっぱり私は、 お客様の想いをしっかり聞いて、それを形にする そんな家づくりが広がって欲しい。

だから橋渡しの役割をし、住まいづくりの場でお役に立ちたい!

 

いつもとの標準仕様だから…… それは、つくり手側の想い。

家を建てる人には ここに○○があるのは意味がある。
我が家だから○○が必要。 これを選んだのは理由がある。

住まう方にもひとつひとつそのご家庭らしさを施して欲しい のです。
もちろん全部の要望に応えるのは難しいことで、不可能なことはわかっています。
できないことにも納得のある理由があるかどうかが大切だと思います。

今、私たちは、情報が雪崩のように入ってきて時間に追われる暮らしをしています。
そしてそれは家づくりをしている人も、私たち建築業界の人間も同じ。

多分、そんな癒しを「家」に求めて家づくりをされている方が多いから…… だからこそ、でき上がった家にきちんとその家族らしさの欠片があって、壁にも窓にも収納にもきちんと理由があって欲しいのです。

 

だから今、
一級建築士として、
収納のプロとして、
子育てをしながら暮らしを実践するものとして、

意味がある動線、意味がある収納をアドバイスする道を選び
私も子育てをしながら新たな働き方を実践しています。

 

ハギヤマ ジュンコ / 建築士・整理収納アドバイザー

一級建築士/整理収納アドバイザー/大阪府在住 フリーランスで「間取り相談」や「セカンドオピニオン」ということしながら、マイクロインフルエンサーという立場で「暮らし」についての発信する。